1-病院/医者/歯医者-(B)続話

19(A)からの続話です。アメリカの病院で治療を受ける時は身分証明書と医療保険証がなければ、まともな治療を受けられ無い事を認識しておかねばなりません。なお無保険や保険があっても保証範囲が十分でなければ日本の治療費の10倍以上かかる場合も起こります。
又この保険の加入費用は高く2割近くの国民は保険に未加入と言われています。会社勤務の人の場合はピンキリがありますが一般的に本人分は全額会社負担で、福利厚生の良い会社では家族への負担率が良い場合もあるので、その良い福利厚生を得るために就職時に、低給与でも、就職を決める求職者もいます。

さて、このIndianapolisの病院の医者は私の胆石発作の原因に確信があるので2時間で手術できるよ、さあやろうか!とヤル気満々ですが、私は今日の会議のドタキャンは絶対に出来ない旨を説明して、兎に角この痛みだけを止められないか?と医者に懇願し、NYに帰ったら即手術するから、、それまで待つことは大丈夫か?と聞くと、帰ったらすぐ手術やらないとダメだぞ、、と念押しされたので、私は医者にOK、じゃモルヒネを打ってください!と頼みました。
(実は胆石と言われた時に昔、同じ痛みを経験していて、当時Los Angelesで日系医者にモルヒネで一時的に痛みを抑えてもらった事を思い出していました)

さて、この医者は私のモルヒネの発音が悪いため、全く理解できず言葉も通じず、もう20年もアメリカに住んでいてもこんな簡単なShot Morphine Please(モルヒネを打ってくださいが通じない)!アクセントの位置を前や後ろにしてもダメで何度言い換えても医者はWhat?Excuse me?What did you say?
もう泣きたい 気持ちで、、Shot “モォ〜フィン”って言ったら1発で通じました!
(私がモルヒネのスペルを知らず、誤発音)

その日の会議は顔見せ程度しか出来なかったですが、何とか窮地を切り抜けてNYに帰り、翌日ホームドクターを訪問して昨日の診断書等、書類を見せたら即、グループ先の病院に連絡してくれ、再度診察後、腹腔鏡手術でやることになりました。そしてここで驚いた事がありました。

アメリカでは普通、一般家庭ではホーム ドクターを持っており、そのクリニックの医者には一番最初の訪問時に自分の体の情報を全て報告しており、過去の病歴、血液検査の歴史等全て本人の合意の基に医者に渡し、Dataを医者は保存します。
その内容には親族の病歴、死亡者はその死因まで保存されます。
そこで、手術病院とホームドクターとはIn-Network (グループ)の為、患者の症状は共有済みで、迅速な次治療に進む事が可能です。
手術医は私が細かく説明しなくても状況は把握していて、うーん貴方のお母さんも胆石で手術しているんですね、、昔は日本でも開腹手術で結構大きく切ったんだろう、、な、、って私が話していない事を話し出してビックリでした、、これはもう30年も昔の話です。日本は今日でも訪問する医者ごとに同じ病歴の話をせねばなりませんし、各検査Dataの経過のチェックも困難です。
日本はComputer作りは凄くても活用技術が苦手な様です。
本来なら本人が情報開示に合意するなら病院〜患者〜病院間のData転送を即、行える様にすべきだと思います(私見です)

手術前の全検査を終えて6-70cm程の幅狭のベッドに寝かされ、手術室の前の部屋で一時待機していると、手術室から女性の大きな声が聞こえて来て、何か調子が悪いのか、わめき立てる声を聞いて、、心拍数が上昇、、その内、静かになったので、きっと麻酔が効いたのだろうと一人ガッテンでした。
一般的にアメリカ人、特に女性は日本人の様に我慢をする忍耐が苦手なように思います(私見です)

今度は金属金具の様なものが床に落ちた様で、チャリーンの音、、あれはメスを落としたのか!と、なんて悪い様に勘ぐり、もう緊張の限界、でしたが暫くすると私の手術の番が来ました、
最初に麻酔医が来て、横たわる私を上から見て”コンニチワ”ってにっこり、、自分が麻酔医である自己紹介をして、簡単な質問、自分の名前、生年月日、ここにいる目的を聞かれ、その後に、ではFiveまで数えてご覧、、多分無理ですが、、で一瞬腕から体が暖かくなり、轟沈!

・・・「アメリカ 駐在中の生活編」1-病院/医者/歯医者-(C)に続く

サカ 記、E5期