取り込み詐欺に遭った時の誤対処

2度目の駐在時の1978年頃にLos Angelesで日本本社から輸入された電卓を卸売店を経由して販売を開始していた頃の出来事です。
比較的富裕層が多いNorth Hollywoodにある新規卸店からFaxで急ぎで商品出荷要請の注文が入りました。
AmericaでBusinessを開始した操業期でも毎月の販売目標はあり、3月の期末も迫っている時期でこの受注は有難かったです。
この卸売店との取引は日も浅く最大売上の限度額も決められてはいましたが前回の少額売掛金の回収も終わっており、回収も大丈夫だろうとの甘い判断が間違いでした。

当時の取引条件は(2% 10days、Net 30)又は (3% COD)で、荷受け後10日以内の支払いは2%の値引きで30日以内には支払い義務があり、代引きだと3%値引きの条件で販売しておりましたが、この卸店は60日が経過しても支払って来ませんでした。
確か5-60万円の販売ですが全く支払う気配がなく、電話、Faxや請求書の再々送付にも音沙汰なしが続きました。

会社から90分ほどの距離でもあり、朝一で売掛金回収の為、事務所を訪問して驚きました。事務所というより小さな倉庫で受付と部屋に机一個、電話、Fax、Copy機、そして奥に倉庫、、
新規卸店として設置した時の相手からの会社説明とは月とスッポン、明らかに通常取引する相手ではなかったのです。

問題は、新規取引時に調査した銀行残高が確か$10万程度の残高があった為、安易に卸店の支払い能力を信じてしまいました。
兎に角、騙された事に気づくまで数ヶ月、、再度訪問して支払いを要求しましたが、払いたいが金が無い、、言葉表情からも払う気は全くなし、、
感情的になり、私がXYZさん、払って貰わないとTroubleになりますよ、、世の中、月夜の晩だけでは無いですよ!って言ったら、彼が机の引き出しから取り出したのがTape Recorderで、Youが言ったことは録音したぞ,と言って、そして
This conversation is over. Go home now! and now you talk to my lawyer!
I’m suing you because you threatened(脅迫した)me.
当時大阪の下町で売掛金回収で問題が起きるとこの程度の会話が飛び交う事もあり、相手の態度に、ついこの様な言葉が出ました。

さて、事務所に帰ってからも怒りは収まらず、、次にやった事は、Invoice、出荷伝票、未払金の支払い要求紙3枚の上下をテープで留めてFax機で相手に送信しました(当時のFax機はローラで巻き取り)その為、受信者はFax Lineが繋がっている間、ずーと自分達のFax機から紙が延々と出てくる。
相手の詐欺的酷さにこの怒りの感情を抑えられませんでした。

その後、Los AngelesのDown townの法務局に行ってこの会社の状況を調べたら、、なんと破産申請が出されていました。
取込み詐欺に遭った被害会社が高額順にList Up され日本企業も多く含まれていました。

後日弁護士から説明を受けたのですが、典型的な取込み詐欺で見せかけの大金を銀行口座に残し、1ヶ月の間に可能な限りの高額商品を発注しまくり、見せ金移動後にChapter 11(破産申請)を申請する手法ですとの事。

当時弁護士からいかような場合でも法に抵触する言動はご法度で、時には被害者が加害者にされて多額の賠償金支払いを命じられる事もあったり、犯罪者が減刑の為に逆訴訟を起こす場合もある
との事で、今後言動に注意するよう、こっぴどく叱られました。
30歳ごろの血気盛んな頃でした。

サカ 記、E5期