アメリカで最初の詐欺被害体験記

「石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ」
江戸時代の大泥棒だった石川五右衛門の辞世の句の通り400年経った今日でも、世の中は泥棒だけでなくランサムウェア、オレオレ詐欺等の犯罪は今も無くなっていません。

私が1977年当時、日本の本社が生産した卓上型電卓等をアメリカの事務機販売店を通じて全米で販売開始する為、Los Angelesの支店管理業務の駐在員として勤務していた時に遭った詐欺被害の顛末を記します。

2度目の駐在とはいえ前回の技術職ではなく今回は営業管理職の為、全ての業務は未熟でNew York本社の指導を受けながら代理店の拡張を行い、契約済み代理店との売掛金回収は2%10, Net 30(10日以内の支払いなら2%の値引き、又は30日以内の支払い)でやっていましたが、Mexicoに近い土地柄もあり、商品購入にトラックで来る一見さんの来客も多く、その様な販売店との取引は現金売りか銀行小切手での取引に限っていました。 

しかし、その詐欺に遭った日は、Faxで取引条件の確認をした上でMexicoから来た販売店に銀行小切手と引き換えに電卓を彼らのトラックに積載しました。
そして受け取った銀行小切手とその他、入金処理の諸小切手と共にNew York本社に夕刻、Fedex発送し、その日の業務を終了しました。
すると翌日に再度、同じ業者から昨日購入した電卓は素晴らしく同じ台数を購入したいとの事で2日間で120万円の販売が出来ました。

その後、数日してNYの銀行から電話が入り、入金された2枚の銀行小切手は無効ですとの連絡が入り、状況を聞いて見ると、、『小切手のコピーを見てください!』との事で小切手を見ましたが無効になる様な不備な点はなく、銀行になぜ無効かと尋ねると、小切手発行銀行名が“Bank of Mexiko” になっています。
そうですMexicoなら存在しますがMexikoは存在しない偽造小切手でした。

小切手の外観はどこから見ても立派な重厚さのある銀行小切手ですが、、偽造小切手でした。悪人がよくやる事ですが完全偽造ではなく、あえて1箇所をチョッコと変えるフェイク手法は昔も今も変わらない
ようです。Businessで始めてアメリカの怖さを体験した出来事でした。

サカ 記、E5期生