Las Vegasの展示会場で

 会社宛の訴訟は何度かありましたが私の個人名で訴訟されたのは2002年頃の商品実演時の小事故の件が初めてでした。
 
 私がNew Yorkの現地法人で新事業を立ち上げていた頃、毎年、Las Vegasで開催される建築業界で使われる機械、工具関連の国際展示場の会場で自社の釘打ち機の実演を現地営業社員が行っている時に車椅子に乗った見学者の頬に小さな鉄片があたり、擦り傷を負う事故が起きました。

 1ヶ月後、USAの現地法人と総責任者である私宛、そして日本本社を始め商品開発関係者等、関係10部署ぐらいを対象に$1millionの訴訟を起こされた体験です。
もちろん、釘打ち機の実演場所はテーブルの上に1m角の箱に強化プラスティックでカバーした飛散防止箱を設置しており、事故保険、P/L保険も万全でしたが事故発生後、1cm程の厚さの訴状が上記関係者、部署に送られてきました。
 
 事故当時は私も実演Showを見ておりましたが安全対策に問題はなく、何故頬に鉄片が当たったのか理解不可解でしたが、兎も角、自社員が頬の傷を見ると確かに掠った跡があり少し出血もあり、すぐFirst Aidに連れて行って傷の手当てをしようとしましたが、本人は大丈夫、大した事はない、という事でその場でバンドエイドを貼って処置してその場は、それでおさまりました。
 
 しかしその後、確かUSAの北部の州のクリニックの医者の傷の証明付きで弁護士事務所から訴状が届きました。
訴状には頬の中に残っていた釘の為、頬の痛みに耐えられなくなり、生活に支障が出た、仕事も出来なくなった、明らかに貴方側の安全対策不備、初期手当無視、そして欠陥商品が原因であると記されていました。
添付の写真見ると頬に残るような鉄片ではなく3-4cmの釘の写真でそんな釘が頬に入り、残る事はあり得ません。それにそのような釘は使っていません。
明らかに故意、計画的な損害賠償金の搾取の言いがかり、ですが医者の証明がある為、訴状は無視できず保険会社の弁護士に対応依頼し、示談でたぶん10%未満で決着したと聞きました。
 
 USAではこのような馬鹿げた訴訟の話はいくらでもあり、ゴルフ場で後方でPlayしている人のBallが自分達の近くに来ると、“Do you have a good lawyer?”って言って、もしBallが当たったら訴訟するぞ!の意味で威嚇です。
又、NYでは一般の民間人でも冬に自宅前通路の雪を除雪していなかった為、そこを歩いていた人が滑って転び骨折した事で弁護士経由で訴訟を起こされる事はよく起きます。
USAで訴訟に巻き込まれる事は誰にでも起こります。
 
追記:さて、この頬の傷訴訟は、これで終わらず続きます。

サカ 記、E5期